倉庫の屋根のように面積が大きい部分の補修は、屋根の種類やどの修繕方法を用いるかでかかるメンテナンスコストや倉庫の中の環境が変わります。
倉庫の屋根の種類は2つ、屋根の修繕方法は3つあります。
そこで今回は、屋根の種類、修繕方法の種類を紹介します。
また、修繕が必要になる原因についても合わせて解説します。
□倉庫の屋根にはどんな種類があるのか紹介します
倉庫の屋根の種類は「折板屋根(せっぱんやね)」と「波形スレート」の2つです。
それぞれの特徴を紹介します。
*折板屋根
折板屋根は、1枚の金属を折りたたんだような構造になっています。
シンプルな構造ではありますが、折りたたむことで金属の強度を上げています。
さらに、高い水準で耐火性を備えています。
しかし、金属なので錆びやすく、雨水に弱いです。
そのため、防錆・防水対策が必要です。
また、雨の音が室内に響きやすいです。
体育館でもよく使われる折板屋根。
学生時代に雨音が響くのを経験されたことがある方も多いのではないでしょうか。
防水ゴムを使うことで、室内に伝わる音を小さくするといった工夫が必要です。
折板屋根には5つのタイプがあります。
はぜ締めタイプは、防水性が高く、かつ安価で、短い工期で工事ができます。
重ねタイプは、強度に重点を置いているタイプです。
台風の被害を受けやすい地域でも耐えることができます。
嵌合(かんごう)タイプは表面にボトルが出ていないため、景観を重視したいときにおすすめです。
二重葺きタイプは、断熱材を用いているため室温調整がしやすいです。
また、通常の折板屋根よりに比べて遮音効果もあります。
わん曲加工タイプは、屋根に曲線をつけることで、積雪に耐える強度を持たせています。
*波形スレート
戦前は工場の屋根材の主流でした。
昔はアスベストが使われていましたが、現在ではノンアスベストタイプも販売されています。
高温や酸性雨によって劣化することはありますが、腐食や錆がなく高い耐久性を持っています。
また、金属と異なり遮音性が元から高いです。
そのため、騒音とされる250ヘルツから1000ヘルツの周波数帯域の音による悩みは発生しないでしょう。
さらに、国土交通省の認定を受けるほど防火性・耐火性に優れています。
□倉庫の屋根の修繕が必要になる原因は?
倉庫の屋根の修繕が必要になる原因として最も多いのは雨漏りです。
折板屋根、波形スレートは一般住宅の屋根と比較して雨漏りが発生しやすいです。
屋根材同士をつなぐボルトの錆び、台風や雪による屋根材の変形、錆びによって屋根材が痛んで穴が
開く、などが雨漏りの原因になります。
倉庫には屋根裏がないため、雨漏りが発生したら被害がすぐに出ます。
また、屋根が広い分、補修費用が高くなります。
定期的な点検で雨漏りが発生する前に修繕を行いましょう。
□倉庫の屋根を修繕する方法を紹介
倉庫の屋根の修繕方法には、「塗装の塗り替え」「カバー工法」「葺き替え」の3つがあります。
*塗装の塗り替え
1つ目に紹介するのは、屋根の塗料を塗りなおす方法です。
屋根材をはがしたり撤去したりという作業が不要なので、1週間ほどで工事が終了します。
また、費用もこれから紹介する2つの方法より安く済みます。
しかし、短いスパンでの塗り替えが必要になります。
汚れや色あせが気になる、といった軽い損傷の場合におすすめです。
*カバー工法
2つ目に紹介するのは、元々ある屋根材の上から新たに屋根材を被せる方法です。
塗り替えよりは費用は掛かりますが、葺き替えよりは安い費用で工事ができます。
また、工期も1週間ほどです。
しかし、上から重ねるので屋根の重量が増し、建物に負荷がかかってしまいます。
そのため、建物の劣化が進んでいる場合は、カバー工法と同時に建物の強化も必要になる可能性があります。
また、元々の屋根材の劣化が激しい場合は葺き替えが必要になることもあります。
*葺き替え
最後に紹介するのは、元々の屋根をすべて撤去し、新しい屋根材に変更する方法です。
工事期間は2週間かかることもあり、費用も高額になりますが、劣化が激しい場合はこの方法をとる必要があります。
また、アスベスト含有の波形スレートの撤去には追加で費用が発生することも。
2003年以前に生産された波形スレートにはアスベストが含まれているため、追加費用が発生することを覚えておきましょう。
しかし、屋根を新しくすることで耐震性が向上します。
1回の工事の費用は掛かりますが次に補修が必要になるまでの時間は長くなるので、こまめに補修の機会が設けられない場合におすすめです。
□まとめ
倉庫には、主に折板屋根と波形スレートの屋根が使われます。
折板屋根は金属なので防水・防錆・防音対策が必要です。
波形スレートは、2003年以前に生産されているものにはアスベストが含まれており、その撤去には追加費用が発生するため、注意しましょう。
また、工事方法は塗り替えとカバー工法、葺き替えの3つがあります。
劣化状況や補修を行える頻度などを考慮し、どの方法で工事するか決めましょう。