ショートサーキットとは、エアコンや空調設備の室外機において、排出された熱風が再び同じ室外機の吸気側に戻ってしまう現象を指します。この現象は「短い循環」という意味で、本来外部に放出されるべき熱が循環してしまうため、空調効率の著しい低下を引き起こします。
工場設備においては、生産性維持と省エネルギー化の観点から、ショートサーキット現象の理解と対策が極めて重要です。特に製造業では、空調設備の運転効率低下は直接的に生産コストの増加につながるため、設備保全担当者にとって見逃せない課題となっています。
ショートサーキット現象が工場設備に与える深刻な影響
運転効率の大幅な低下と消費電力増加
ショートサーキットが発生すると、室外機の熱交換器温度が上昇し、室内機との温度差が拡大します。この結果、熱を室内から室外へ運ぶために必要なエネルギーが大幅に増加し、消費電力が30~50%増加する可能性があります。工場全体の電力コストを考慮すると、この影響は決して軽視できません。
設備機器の故障リスクと生産停止の危険性
長期間のショートサーキット状態は、室外機のオーバーヒートを引き起こし、最悪の場合、圧縮機や制御基板の故障につながります。ダイキン製機器では、冷房時にE3、暖房時にE4のエラーコードが表示されることがあります。突発的な設備停止は生産計画に重大な影響を与えるため、予防的な対策が不可欠です。
メンテナンスコストの増大
ショートサーキット状態での運転継続は、設備への過度な負荷により、定期メンテナンス頻度の増加や部品交換サイクルの短縮を招きます。これにより、年間の設備維持費用が大幅に増加する可能性があります。
工場におけるショートサーキット発生の主要原因と設置環境の問題点
狭小スペースでの室外機集約設置
工場では限られたスペースに複数の室外機を設置することが多く、特にドライエリアや屋上での集約設置において、排熱が逃げる経路が確保されずショートサーキットが発生しやすくなります。室外機間の距離が不適切な場合、隣接する機器の排熱を相互に吸い込む現象も発生します。
障害物による気流阻害
製造現場では、原材料や製品の一時保管、配管・ダクト類の設置により、室外機周辺に障害物が配置されることが頻繁にあります。これらの障害物が空気の流れを妨げ、排熱の循環を引き起こします。
建物構造による風通しの悪化
工場建物の構造上、室外機設置場所が壁や構造物に囲まれた環境になることが多く、自然な風の流れが阻害されやすい状況があります。特に軒下設置では、温かい空気が滞留しやすい特性があります。
当社のショートサーキット対策事例
お客様の工場でエアコンの効きが悪かったのは、室外機が背中合わせに設置され、熱い排気を再吸入する「ショートサーキット」が原因でした。これを改善するため、4台の室外機を移動し、動かせない1台には熱気を上向きに逃がすルーバーを取り付けて対策。施工後、エアコンが正常に稼働することを確認し、工事が完了しました。
効果的なショートサーキット対策技術と実装方法
専用ショートサーキット防止システムの導入
最新の対策技術として、室外機間に設置するメッシュシート付き金具システムがあります。このシステムは、排熱が吸気側へ循環することを物理的に防止し、夏季の消費電力量を5~13%削減する効果が実証されています。設置も既存のビス穴を利用するため、大規模な工事が不要です。
風向調整板(風向ガイド)の活用
室外機の排気方向を制御する風向調整板の設置により、排熱の流れを適切に誘導できます。メーカー純正品を使用することで、ファンの静圧への影響を最小限に抑えながら効果的な対策が可能です。
設置レイアウトの最適化
室外機の配置を見直し、適切な離隔距離を確保することが基本的な対策となります。室外機は左右100mm以上、前面200mm以上、背面50mm以上、上部は基本的に開放または最低200mm以上のスペースを確保する必要があります。
室外機のショートサーキット対策なら有限会社パール金属にお任せください
工場設備の空調効率改善とショートサーキット対策において、有限会社パール金属は豊富な経験と専門知識を活かした最適なソリューションを提供いたします。
当社では、室外機設置環境の詳細な現地調査から始まり、最適な対策機器の選定・設計・施工まで、ワンストップでサポートいたします。風向調整板の製作、専用架台の設計・製作、既存設備の改修工事など、お客様の設備環境に最適化されたカスタムソリューションをご提案いたします。工場の生産性向上と運営コスト削減を実現するショートサーキット対策について、お困りごとがございましたら、有限会社パール金属まで お気軽にお問い合わせください。
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